このごろの

駅に行く途中

親分の料理はなかなか手が込んでいる。今日は豚肉のブロックと牛肉のブロックを加工した。生ハムと焼き豚と牛肉はローストビーフ。とにかく基礎知識がないから本に書いてある情報だけが頼り。現実に暮らしている年月を長く重ねてわかってきたことは、私と彼の育ち方は違うということ。私にとっては過去の何処かの時期に、母から基本的なことは、当たり前に本の情報の穴埋めの知識が刷り込まれているのに、彼はそれがない。見ていると、一生懸命で私の倍は緊張してくたびれる。
 最後の土壇場の処理が悪くて料理が台無しになることもある。その時なんと忠告をしたら良いのか私は迷う。子供なら一緒に作業するからその中でやりながら注意を小出しにする事ができる。彼の場合はそれができないから、何しろ「一人でできるもん」のプライドを傷つけずにうまくサポートするのはとても難しい。いかにも「気にいらない」と言っているように聞こえてしまうから。大人のしかも男に家事を仕込むのはすごく難しい。だけど彼が棚に積んでいるPCから打ち出した料理のレシピの山の高さを見て、もう胸がいっぱいになった。がんばれ。頑張れ。がんばれ。