梅満開

 車で移動中に樹木に花が咲いていると、胸にきゅんと来る。街のあちこちで、春が来たよ、春だよ、とささやいているような気配。人間は日々の暮らしで見ても聞いても感じ取れないが、季節の変わり目は自然に生きる者たちには歴然とした変化なのだろう。春はつらい季節だけれど、それでもこうやって生きているから感じ取れる喜びもある。神はどんなに小さな者にも生きる喜びを感じる力を持たせてくださった。梢の新芽はほんのりと赤く染まっているから木全体が春に染まって見える。冬から春への移り変わりは淡くて好きだ。