雪が降ったはずなのに

冬の日が落ちてくる

 ほんの少しちらちらしただけですっかり天気は回復してしまった。スキー場は困っているし、いったいこのままどうなるのだろうかと私たちも思っている。雪は厄介だけれど、降らなければ降らないゆえに困ることがあるだろう。気候がこの十年で大きく変わってしまったことに怖さを感じている。人間の力では気候を変えることはできない。
 ただ出来ることを必死に探す。自然に生きるものはどうなっていくのだろうか。白クマを見ているとかわいそうだけでは済まない怖さを感じる。自然を思いのままにできないことに目をつむって、経済性だけを追い求めてきた私たちが、最後に行きつく先はどこなのだろうか。

 私たちが自分の命の旅を終わるとき、残される地球はどのような環境になっているのだろうか。自分たちの生きていく場所としての感覚を見失ったら、人類は滅びてゆくしかないのだと思う。こんな世の中に子供たちを置いてゆかねばならない私たちの世代は、穏やかに死ねるのだろうか。この国の若者には希望があるのだろうか。一握りの上層に生きる人たちを除くその他の弱き人々はいったいどうなっていくのだろうか。悲しみの淵を漂っていくような希望のない旅を思う。暗澹たる気持ちになる。ヨーロッパの移民の姿と、自国の若者の姿が重なってきてしょうがない。正規労働の場所がない不安定な働き方しかできないこの若者たちが、老いを迎えるとき、今の為政者たちは責任を取らないまますでに命を終えているだろう。この責任をいったい誰が取れるというのだろうか・・・・