揺れる

陽が高いところから射しこむ

 それぞれの安否を確認する。みな無事だった。津波が来るかそれだけが怖い。震度4でエレベーターが止まるので、きっとこれは止まっているな。昨日の大雨と今朝の地震と忙しい。


 揺れていても、自分のことよりも離れて暮らす子供たちのことが心に浮かぶ。思いやる。思い至るという言葉は、その人との心の距離を表す。何か不安なことが起こったら、私はあなたのことを真っ先に案じていますというメッセージは、自分の心の安定だけではなく、むしろ相手が「自分は覚えていてもらっている」という安心感につながる。


 人はこうやって手を結び合っている。「絆」とか「繋ぐ」とかいう単語には、互いに同じくびきにつながれるという意味がある。重荷を共に担うからこそ、信頼がなければ一歩も進めない。一方的に与えることでも、差し出すことでもない。四年前の震災の後、声高に叫ばれたこの二つの言葉の意味するものを、本当に理解して使っているのか。結んだ手を一方的に振りほどかなかったのか。もしくは相手の手を握り返してこなかったのではないのか。さまざまな心模様を思い出す。
 今日一日。改めて、そう思いなおす。