猫が屋根の上から

勢いをためる

何かを狙っている。街の中にこんな風景が残っていることにほのぼのとした気分になる。ありふれていたはずの風景が無くなったのは土が街から限りなく消えてゆき、アスファルトで覆われ、木の建物が無くなり丈の高いコンクリートの建物が増えていったせいだろう。庭が狭くなり街の中の民家に木立が無くなった。空地は皆駐車場になった。街から雀の姿が消え、カラスだけが目立つ。街の生態系が静かに変わっていくのに、私たちは気が付かない。怖いなと思う。自分の身の回りの風景が変わっていることを、無意識に受け入れて修正して生きているが、私だって大地に足の着いた生き方をしてはいない。高い建物に住んでいて見る風景はいつも空と大地の中間の風景だ。自然界から隔離されて生きることが心に与える影響は無視できないと思う。
たかが猫…されど猫。