仕事が終わって

 外に出たら、異様な雰囲気だった。たくさんの警官がいて、交通規制をしている。車が皆信号で止められていて、もちろん人間も交差点の外で立ち往生。そこに複数の白バイと、パトカーと、中型のバスとが車列を組んで猛スピードでやってきた。皇室のどなたか?それとも政府要人?三月十一日が近づくとあわただしく、訪問客が増える。イギリスの方はもうお帰りになったし、何事かと思った。その車列が過ぎたら一斉に信号が復活して、車と人がサッと流れ始めた。見事な静と動だった。あんなに秩序立った動きって行きずりの人の集合体でもできるのだなと思った。


 待ち合わせていたカテドラルの中庭には喪服の人々がいて、まさに今、葬儀が終わったばかりだったようで、お骨や遺影を抱えた方たちが十数人身を寄せて立っておられた。中庭に立ち入るのもはばかられて道路で待っていて拾ってもらった。なんだかやるせなくて、悲しくて、人の生き死ににかかわる一日だったなと思った。
 明日は、朝早くから研修。終了後会議。くたびれそうな一日だと思った。親分は温泉地で泊まり込みの送別会。春は分かれの季節だな。姫はグループ展の最終日で終了後作品の撤収をする。この後、来月にまた大きな展覧会があり、作品を出してみたらどうかといわれている。ちらと横顔を見たけれど、くたびれた顔をしていた。私を下ろして、姫は蛙ちゃん夫妻とカラオケに行った。ささやかな息抜き。