おやまあ

 ドアの取っ手を取り換えたので新しい鍵になった。鍵を失くすと鍵全体をそっくり取り替えなければならないので、鍵をコピーしてマスターキーは使わないことにしている。鍵を紛失したことはないのだけれど、失くしてはいけないという緊張感が切ないので、車のエンジンキーと一緒にしているから失くすことはないのだけれど、コピーを自分の分作る。仕事帰りに作って、いざ玄関を開けようとしたら、なんだこれが合わない。ぞくっとしてマスターキーを挿してみたけれどこれも合わない。一瞬寒気がした。
 契約書バックに保管しているマスターキーを何種類か並べてみて、気が付いた。私はトランクルームのマスターキーを持って出たらしいのだ。親分に「物置の鍵いらない?」といったら「いらないけど。それ持っていれば君も物置のかたずけがいつでもできるね」と言われた。仕方がないのでシールに物置と書いた。この話を書いていてなんだかデジャブ感。「聖お兄さん」の中にイエスブッダがお互いに玄関の鍵を失くして探すエピソードがあった。あははであるよ。


 さて我が家のトランクルームの場所と番号は正確にはどこなのか知らないことに気が付いた。親分に任せっきりで私はそんなごく当たり前のことさえ知らなかったということに気が付いた。もっとも中身はキャンプ道具とタイヤくらいだったと思うけれど。

 
 主婦失格だね。


 言い訳をひとつすると、ここに引越した時、家庭の生活の主導権は夫にすべてゆだねた。私が今まで管理していた通帳も、書類も、台所も、洗濯機も、家事全般のすべての主導権は夫で、私は口を出さないと決めた。私の性格からすれば、いったん口をはさむとじりじりと手をだし、結局夫の手から奪い取ってしまうだろう。自分が思い通りにやりたいから、彼のやり方にはいろいろ文句を言いたくなるだろう。何しろ、親子二代母の代から例の(NHKでいうところの)「スーパー主婦のグループ」に所属して鍛えられてきたのだから。彼がどうよというのではなく、私自身の黙っていることのできない性格を考えたら、なるべく触らないで任せるのが良いと思うのだが・・・もしかしたら彼の考えは違っているのかもしれない。

 それにしても昨夜のビーフシチューは上出来だった。もうひと鍋あってもよかったかもねと思うくらいおいしかったよ。彼はこの頃、時々ヒットを飛ばすようになった。