深夜

 あの大震災から、夜は低くラジオをかけなければ眠れなくなった。何かが起こってまず事情を確認するのはラジオの速報だったから。一番恐ろしかったのは津波警報だ。そのために今もラジオをかけながら寝ている。神戸を体験した義姉もまた同じだった。彼女と同じ部屋に泊まった時、あの日からラジオをかけないと不安なのと、低く自分にしか聞こえない音でラジオをかけていた。私は彼女が聞いていてくれるから安心して眠れた。
 深夜イスラム国に抗議する首相談話が飛び込んできて目が覚めた。一人が犠牲になられたのだとわかった。日本だけが安全でも日本だけが無関係でもない。日本も世界の中に組み込まれて結ばれていることを、日常的に私たちは意識してはいない。島国という自分の立場を改めて思った。