映画を見てきました

アパートの夜景

 今日は、午前中にケースを三件。飛んで帰って親分と二人で辰巳芳子さんの「天のしずく」を見に行った。辰巳さんのお母様の浜子さんと私の母が同じ家事研究グループに属していて、同じ料理研究家ということで親しい気持ちがあった。
 娘さんの芳子さんが、昔、母達がやっていた手つきと同じ手つきでお鍋に向かっておられるのを見てまるでタイムトンネルをくぐったような気分になった。母が言っていた同じ言葉が語られるのを聞いて、一瞬あたかも母がそこに立っているかのように感じた。私もまた母の手の技を身に頂いて、子供たちを育ててきた。梅をいつくしむ姿、野菜を刻む手の動き。懐かしくて懐かしくて胸がきりきりした。


 いらだって料理を作ると塩加減がきつくなる。
 心のありようは料理の味にそのまま出てくる。
 穏やかにいとおしみながら食事を支度しなさい。
耳にタコができるくらい言われた言葉。


 私の料理を子供たちに手渡しただろうかと、ふと思った。母が亡くなってもう23年が経とうとしている。母の味はまだ私の手に残っている。ありがたいことだ。自分の作る食事にふっと母の味を感じるときうれしくなる。