今日も滑って

6階の吹き溜まり

 なんとか仕事をする。いつもなら15分のところを45分かかる。それでも早いと思った。ガソリンの減りが早い。盛岡に居る時は当たり前だったことがもう自分の中で当たり前ではなくなっている。人は一度困難から抜けると忘れたいものなんだなあと思った。体は覚えているのでそれなりに無意識に運転操作はできる。ありがたいことだ。何時までにこれこれをして何時までに訪問という手順を何があっても崩さないのが仕事だから、緊張するのかもしれない。駐禁解除を持っているから、路上に止めるが、そこは俗に「ヘルパー通り」と言われるくらいズラリと片側にヘルパー車が駐車している。皆訪問時間が決められているからそこに割り込むのは至難の業。どうか一台分のスペースがありますように。行くと一晩駐車していたのかくろぐろとアスファルトがむき出しのスペースが一台分路肩にあった。キャッホウー。ありがたく停めさせていただく。嬉しかった。ヘルパーさんの仕事を第三者として見ると、本当に大変な仕事だと思う。自分の家族でないからできるんだと言われてなるほどと思う。時間で区切ることが必要な職種なのだな。私も立場は違うが時間で区切り、人で区切り、絶えず気持ちの切り替えをし続けていくことが求められる。まるでインデックスが付いた本のようだと思う。必要なことを必要な時は百%呼び戻し、その瞬間が過ぎたら記憶を閉じる。守秘義務の中で成り立つ仕事とはそういうものだ。ここだけの話の存在しない場。