障害者になって半年

雲が淡い

脳梗塞で左半身麻痺になった人がいる。なんとかリハビリを続けて杖なしで歩行できるようになった。まだ若いから、人生これからという気持ちだったのにと思うと無念さは計り知れない。不思議なことに彼はめげない。車いすに座ることもできなかったのに、座れるようになり、自分で進むことができるようになり、なんとか歩行器につかまって歩き出し、ストックになり、一本杖になり、ついに杖を離して歩けるようになった。しかし段差を超えることができない。一般住宅での生活は不可能である。家族の居ない天涯孤独の○さんは、これからどうやって自立してゆくのだろうか。介護施設に入るには難しい精神障害を持っている。人との関係を作ることができないから、どこの施設に入ってもトラブルを起こす。本人もそのことをわかっているので、独り暮らしを望んでいる。しかし現実的には助けてもらわなければ何もできないこともわかっている。その間で今退院を控えて、気持ちは揺れている。
 無年金で、家族も無い一人の人間がいかにして生きてゆくのか。これからの人生の方向をNPO支援組織と保護課と私達と本人でタッグを組んで組み立ててゆく。本人が生きる希望をどこに見出すことができるのかが大きな課題だ。障害者初心者マークはいつになったら外すことができるのだろうか。