重い気持ちのままに

新しい聖堂

 それでもクリスマスの朝が明けた。昨日の朝と今日の朝の何という違い。昨日生きていた人がもう今日はこの世には居ない。長い長いお付き合いだったから、一人の人間の開けた穴は大きい。慰める言葉はいくらでも見つけられるが、言葉の保つ力はこのような場合は無に等しい。沈黙の持つ意味がこの時初めて誰にでも理解できる。人間の命の儚さを、この日深く思った。
 死は盗人のようにいつやってくるのかわからない。そのことをまた改めて思った。こんなクリスマスもあるのだと思った。