夜、重たいケースがあるから

 その人に面接する前に、心を整えておきたい。人は多かれ少なかれ痛みを抱え、想い通りには生きることができない。それを飲み込みながら自分はどう生きたいのかを、精一杯求めて自分を奮い立たせていく。それができずに病気の中に沈み込んでいく生き方は悲しい。いなければ良い人も、生まれなければ良い生命も、死ぬしかない命もない。意味がわからないままに、それでも、訪ね訪ね生きていくのが人生だ。いつの日にか、この事のために自分は命を授かり、招かれているのだと感じる時が来る。それは自分にしかわからないこと。そのことを私は心病む人に伝え続けている。言葉ではなく私という在り方を通して。