いきなり死にたいと言われた時

白神山地

 誰もがぎょっとする。そして何とか止めようとする。当たり前の反応だけれど、ここで2つの選択肢がある。一つは、其の人が本当に死にたいのか、死の瀬戸際にあるのかを見極めなければならない。なんとなく言ってしまって、聴いたほうが真剣に止めようとして関わりすぎて、かえって抜き差しならない方向へ追い込んでしまうことがある。もしくは、本気でやめなさいと真っ向から向き合って相手にこちらの意思を一言伝えて、相手がハッとする正気に戻るということもある。大事なのは、一旦自殺衝動が収まった時の対処。なぜその気持や言葉が出てきたのかを、じっくリと、当人と考えてゆく。考えるのは相手なのでこちらは、気持ちの集中と解放をいかにしてゆくかに気を配る。
 例えそれが次の日にけろっとするように見えても、一瞬の気持ちの高ぶりはなかった事にはならないので、甘く考えないこと。かる〜く未遂を繰り返して、ある日本当に帰ってこないということもあるのだから。そして命は取り返しがつかない。死んだものは生き返らない。人生に取り返しの付かないことがあるとすれば、たった一つ死ぬことだけだ。