一番深く感じたのは

白神山地

私もまた自然の中の一部にしか過ぎない。という実感だった。何を語ろうが、何に傷つこうがたかだか一人の短い生涯の中の一こまにすぎないのだなあと思った。今ここでこんなふうに同じ時間を共有している人たちだって、ほんのひと時すぎればお互いにそれぞれの人生のまっただ中で今この時間のことなど消え去ってゆく。人生はいかに記憶にとどめ、いかに忘れていくかの綾なす織物のようだ。何時か本人の記憶さえも霞んでしまって何やら分からないぼんやりとした霧の中に消えていってしまう。今この瞬間の鮮明な記憶はやがて消えてゆくためのささやかな道標かもしれない。戻りたいと思った時の記憶のタグ。