夢を語るひと

mugisan2013-05-19

 いつの間にか私の周りに夢を語るひとがいなくなった。過去を語るひと、現実を語るひとはいるが、自分はこうなりたい。こうしたい。と未来へ自分を投影するひとがいなくなった。これ入った移動したことだろうかと思う。叶えたい夢があっても、あまりにも現ひつが厳しくて、それを口にする事自体、自らを恥じる気持ちになる。そんなことを行ってますます生きにくくなるだけではないかと。
 着実に実現してゆく人生設計を夢と呼ぶならば、確かに夢を持って生きているのだろう。それは貯蓄や、人間関係に裏打ちされた堅実な明日の自分の姿である。それを持てない現実に生きねばならないひとは敗者でしかないのだろうか。連日のようにニュースで流れる景気回復と、アベノミクスの言葉にはささやかなあすの夢さえ打ち砕かれて今日を生きる自身さえ奪われた人のことは捨てられてしまったように感じる。
 そんな人と日常接していると、この社会に居場所さえなくなってゆくこの人達の明日はどうなるのだろうかと思う。自己努力でなんとかなるほど世の中は公平に開かれてはいない。目に見えない壁や、ゲートや差別があって日の当たる場所に居場所を見つけられるひとはごく僅かでしかない。多くの人は結婚して家族を持つことさえ諦めてしまっている。この現実を誰が変えて行けるのだろうか。無力感を感じる。私も夢を見たいし、夢を語りたい。でも、私は言葉を出すことを恐れている。