仕事の帰り

 なんとなくタイヤが重いなと思う。冬タイヤもあとふた月で夏タイヤに履き替える。ハンドルの軽さが違うから雪の抵抗のないまま走るとかなり重く感じる。本当にこのタイヤが必要な日数は全部足しても二週間くらいだろうが、いつ降るかわからず降ったら絶対必要になる冬タイヤは雪の降る町に暮らす者にとって命綱のようなもの。ずいぶん高いけれど自分と他者の安全を確保するためには何を切り詰めてもと思う。
 いつもの道を少しスピードを落としてゆったりと走ってみる。もう少したったら、分厚いダウンコートを脱いでもう少し身動きのしやすいコートに着替えて足元もブーツからショートに履き替えて、目に見える形で春がやってくる。あの地震から二回目の春はどんな風を運ぶのだろうか。