寒いけれどなんとなく暖かい

あさっては雨それとも雪

 光の変化が起きている。街全体がほんのりと薄紅色の光をまとっているような感じがする。風がなければコート無しで少しは街を歩いて行けるような感じがする。この薄紅色は木の芽の色かもしれない。
 親分はこの前の入院の原因になった傷の回復具合をチェックするために大腸スコープをする。何もなければよいのだけれどふと思う。歳を重ねることの中に不安があるとすれば自覚できない体の奥深くに異常が潜んでいるのではないのかという思いが「ない」といえないことかもしれない。それがある日引き返せない姿で現れてくることの不安。崩れてゆく者の宿命なのにな。熟成してやがて崩壊して腐敗して無に帰ってゆくのが命あるものの姿なのだと頭はわかっているが、心ではそうなりたくないと思っている。そこが一致すれば穏やかに死を受け入れて崩壊は再生に結びつくのだろう。