風が強い

風が吹いても大丈夫

 もう立冬が過ぎたのだから冬なんだけど、気持ちはまだ晩秋。秋の終わりが好き。木々の色合いが息を呑むほど素晴らしい。この街は緑が多いから、今紅葉が輝いている街は宝石箱のようだ。樹の葉を拾ってデッサンして、透明水彩で彩色する。一瞬の命の名残りの色合いが好き。
 今日は午前にケースがふたつ。いろいろあってさすがに体力の限界を感じた。思い切ってベッドに入って夕方までしっかりと寝てみた。体の重さは少しは軽くなったようだけれど、気持ちの中に怒りの種があることに気がつく。忙しさに紛らせて言わずにきた思いがはっきりとその輪郭を見せている。
 黙っていることが大切なのか、それとも自分の気持ちの中の痛みを伝えたほうが良いのか。逡巡する。