昨日の自分がもういないという感覚

春が樹から降り注ぐ

 老いた方と接していて、相手の心がずたずたになる瞬間を見てしまうと胸を突き刺される思いがする。背を丸め自分のベットにもぐりこんで精一杯の抵抗をする。その背中のなんと哀しいことか。判らないのではなく今この相手とは、この自分を取り巻いている周りの人たちの言葉を判りたくないのだと感じる。
 どうしたら心を通い合わせることが出来るのだろうか。私には見せたことのなかったこの姿を初めてみた。自分を守ってくれるはずのヘルパーに向けられた怒りを、心のケアをするものとしてどう修正していったらよいのか。この時点に芽生えた不信感を今ここで取り除くことは不可能だと思った。ならば。今ここで叉新たな出会いをしてゆくことが大切ではないのか。悲しみや憎しみの連鎖の鎖を断ち切るチャンスを思う。