物凄い風

若林の再生の旗印

洗濯物を外に干すことが出来ない。おまけに砂が飛ぶ。細かな雪が降っている。それなのに太陽はさんさんと地上を照らしている。空が晴れているのにこの雪はどこから飛んできているのだろうか。
 若林区役所前の鉄柵にくくられた赤い幕。仕事でこの横断幕の前を通るたびに胸にこみ上げてくる物がある。ここまで津波は来た。ここが仙台平野の津波の終着点なのだ。
洗濯をしていても干せる日ばかりではない。今日は干せない。 せっかく洗った洗濯物は家の中に干す。

毎日の暮らしと、あの日から引きずっていることごとと。日常と日常が混雑している。だから疲れが抜けないのかもしれない。くよくよしているわけではないのだが、疲労感が抜けない。

今日は夕方からお通夜がある。明日は告別式。人が少ないほうが気持ちが楽なような気がしてお通夜に行くことにした。連れ合いを亡くしたその人は誰にも彼が入院していることも、命の瀬戸際であったことも言わなかった。どうしても出席できなくなった会合の欠席の届出で初めて事情がわかった。身内のことは身内で。背筋のしゃんとしたその人を見ていると、かなわないなと思う。そんな彼女に有形無形でどれほど私は支えられてきたことだろう。寄り掛からない女の姿は美しいな。