雪がちらつく

町中にもこんなお店が

それなのに、空気はもう春。木の芽はほんのりと赤く色付き、遠目にはぼんやりと明るく見える。日陰の雪の中からスノードロップが花を開いたり、日向ではクロッカスが花をつけたりしている。雪を押しのけて福寿草がつぼみを持ち上げたとメールが来た。
 あの日から、けなげに季節を知らせてくれる花の便りを聴くことが多くなった。あまりにも多くの変化が在って、失われたり、壊れたりしたから変わらないものが恋しくなる。変わらないものが身の回りにあればそれをきっかけにして其処から次の歩みを始めることが出来るのかもしれない。
 変わらないものが恋しい。変わらないものを確かめたい。そして自分もまた変わらないものを持っていることに気がつく。変わらずにいられることを自分の中に感じたとき私は大丈夫と思うことが出来る。
季節が巡ることが心の中に変わらないものを思い出させるように、自分自身が誰かの記憶の道しるべを呼び戻すかもしれない。