ヤッパリ怖いよ

ビル、駐車場だって頑張る

 あの日が近づいてくる。判っていても「あの日の映像」がテレビで放送されることが多くなって、再び思い出してしまう。あの日に起こったこと、あの日からのこと、そして今のこと。生活支援金を貰っても多くは失ったものを補填することで消えていってしまう。失った生活はもう二度と戻ってはこない。家族を失った人、健康を失った人、その人たちの喪失に遠く及ばない我が家でも、元通りには暮らせないなと思う。
 家族の一人一人がひそやかに失ったものがある。語らなくても暮らしぶりが変わったなと感じる。大将は今日胃カメラ検査。姫はずっと頭痛に悩まされている。親分も私も処方薬を必要とする身体になってしまった。この一年の疲労感はおそらく数年分の疲労が一度に来た結果なのだろう。無意識に緊張は続き、頑張らなければ一日が暮らせない。だからといって弱音を吐いているわけではない。これが被災地の現状だと思う。街の崩れ去った風景。手付かずの瓦礫。その中で増えていった業務と日々の仕事と不安。何も起きない方が不思議。