めぐり合う

 以前ある出版社のモニターをしていたことがあった。その時担当誌に連載されていた物語があった。美しく、力強く、魂に響く文章だった。結局抄録のまま連載は終了し、その出版社からは出版されず、別の出版社から出版された。取り寄せて読もうと思ったがそのまま転勤し本はどこかの箱に入ったまま取り戻すことが出来なかった。12年経って今回の倉庫から引き取った荷物の中にその本があった。その長い年月の間に私は養父と実父と息子を失った。夫は職を離れて自由になり、私は今自分の人生を改めて見つめている。このとき、この本が手元に戻ったことは私にとって深い意味があると思った。

失われた物語を求めて―キッチンテーブルの知恵

失われた物語を求めて―キッチンテーブルの知恵

 もう一冊は、ナウエンの最後の日記。この本も別の箱から出てきた。この二冊の本は別々のときにやってきて同じように引越しのさなかに読まれることもなくしまいこまれてもう出会えないのかと思っていた本たち。懐かしく大切なともを返してもらったように感じた。
ヘンリ・J・M・ナウウェン最後の日記―信仰と友情の旅

ヘンリ・J・M・ナウウェン最後の日記―信仰と友情の旅