悲しみの受け皿・怒りの流しどころ

人にはめったに語れない
心の中の無音の言葉を
静かに受け止める。
掌に降り積もっていく淡い言葉の切れ切れ


長い時間の果てに
こらえきれずにあふれ出した心は
それでも人を傷つけることをためらう


悲しみの受け皿を差し出す私と
安心してゆだねてくれたあなたと

共にそこにいたわずかな時間と
薄暗い空間だけが
記憶に残る


やがて解放されてあふれ出す
あなたの怒りの
静かな序章