雪が降って

よるか

道が凍って怖い。いつの間にか冬になったなあと思うくらいにしか季節を捕まえられなくて、おいて行かれそうになる。本当は一年が来るのが辛いのかもしれない。時間は容赦なく過ぎてゆくのに、あの日から動かない気持ちの重さがある。復興だと言いつつ何事もなかったかのように、季節行事が過ぎてゆくことが切なく哀しい。自分の気持ちの整理がつかないのに、暮らしは前に進まなければならない。
 雪があたりを白く包み込み、沈黙の空間が広がっている間は、そっと自分の気持ちを眠らせておきたいと願う。あの日からこんなにも遠くに来てしまったのに、未だ気持ちはあの日のままの痛みを残している。被災地という場所の持つ複雑な痛みは単純に時間で切り取ることは出来ないのだなあ。