ワイン

 今日は友人に届ける。幼稚園のころからのお付き合い。娘が成長してゆく姿を見守ってくれた友人。「あの小さかった子がいつの間にかこんな物を作るほどに成長したのね」と自分のことのように喜んでくれた。我が家は転勤族で、全国を転々としながら育ってきた子供たちだから、こうして成長を知ってくれている友人は数少ない。幸いにして私たちは、何度か同じ土地に出戻り転勤を繰り返してきたから、途切れ途切れではあっても子供の成長を知ってい人がいる。ふるさとと言う固定した土地をもてなかった私たちにとってそれは得がたいもの。ありがたい。
 社宅だったり、教会だったり、スカウトなどが、私たちの存在を覚えていてくれる人たちと出会った場所。役員をやり、多くの時間を注いだ学校は、おそらく私たちの記憶はもうないだろうし、私たちも沢山のクラスメイトはおぼえてすらいない。私自身も、子供時代を転勤を繰り返し、転校を繰り返して育ったから懐かしい友達を持っていない。人生はそういうものだと思ってきたけれど、今回娘の成長を改めて喜んでくれる人の姿を見て、大切なものをあらかじめ失ってきたのだなと思う。