地震も津波も

誰もいないビルの花壇

乗り切ってきたのに、とうとう最終ステージになった。ドクターは今月一杯と言う。何時かは来るはずの別れのときがもうそこまで来ている。思えば幾度もその予感はあった。それを軽やかに乗り切ってきた。痛みをもう抑えることが出来なくなって、病院でのペインケアが必要になってきた。震災直後にこの状況だったら、緩和ケアなんて受け入れてはもらえなかったと思う。三ヶ月たってようやく、病院も緊急事態から平常機能を取り戻しつつある。今なら、ていねいな最後の寄り添いを期待できると思う。
 悲しみに満ちているこの日々を、さらりと脱ぎ捨てて飛び立っていくのだろうな。来週早々さりげなく訪問して、最後のメンタルケアをする。そして、きっとまた会えることを分かち合おうと思う。
 この震災の後、直後は頑張って乗り切って、耐えてきた方たちが最後の道のりを歩き通して旅立っていかれた。私の担当の方たちも次々と去ってゆく。私たちでさえ体調を崩し、治療に通いながら日々を送っているのだもの、この方たちが力尽きてしまわれても、致し方ないのかもしれない。
 ありがとう。出会ってくださって、ありがとう。ボンボヤージ。