自死遺族ケア

 もうすぐ命日が来る方がいる。お盆が近づくにつれて居たたまれない気持ちをかかえる人がいる。人それぞれに痛む気持ちは違うけれど、それでもまた夏は悲しみを呼びおこす。
 夏休みは普段家庭に居ない子供たちが日中も家庭に居て濃密なかかわりがある。亡き者をしのぶのに夏はほかの季節とは異なる姿を見せる。元気だったころの、まだ幼かったころの何気ない夏の思い出は、失ってしまった後に激しい痛みを残す。季節の巡りの中で夏は哀しくも切ない。
 遺族の言葉一つ、しぐさひとつの中に癒されることを望まない心の痛みを感じる。その痛みの中でしか語れない思いがあることを静かに受け取ってゆこうと思い、ただただしっかりととそこに居ることを心がける。水に浮かぶ木の葉は一本の杭に出さえ身を寄せてしばし流れを止めるではないか。わたしは心の中のささやかな思い出の拠り所でありたいと願っている。