講演

 依頼がまたきた。私の活動について、話す場所が与えられたのはそれなりに意味のあることなのだろうから、その求めに応えてゆこうと思う。私にできることはささやかなことだとわかっているから。
 一滴の水であっても、その一滴の意味がある。あの小さなハチドリのように。なぜ生きて行かねばならないのか。命は誰の物なのか。自殺予防と言う言葉はあまりよい言葉だと感じられない。
 「生きてこそのものだね」だよと言う気持ちはある。「生きてみようよ」の気持ちを伝えることができたなら嬉しいと思う。それは予防と言う硬い物ではなく自殺しないで済むものなら愛する者にとって、どれほどの喜びかというこちら側の願いを伝えることだ。人間にとって取り返しのつかないことはたった一つだけ。そのほかのことは何であっても取り返しもやり直しもできるのだ。そのたった一つのことは命を失うこと。死なれてしまったら残されたもには救いが無い。残された者には救いが無いことを自殺を考えるはるか前に、自殺なんて思いも寄らない遙か前に。その苦しさを作らないで欲しいと願う。ひたすらに願う・・・