忙しさにかまけて

ひこうき雲

 このところ本を読んでいない。きちんと決めた時間を自分のために使いたい。本に向かうとしみじみとしたときの流れを感じる。その時間だけは誰も奪うことができない私の自由な時間。だけど少しでもそんな時間があると手をつけていないもろもろのことが頭に浮かんでくる。いやああ・・・と思うけれど先延ばしにしていることに罪悪感がある。
 ひさしぶりにじっくりと腰をすえて自分のために時間を使わねばと思い始めている。やらなければならないからやることばかり優先していると自分のやりたいことがもはややりたくもなんともなくなって、どんどん気持ちが貧しくなっていく。我慢しているうちに意欲がなくなってゆくのが判る。それは寂しいではないか・・・きっとこうやって気持ちがやせ細ってぎすぎすしてゆくのだろうな。楽しいと感じることは大切なことだと思う。お洒落もきっとそういう気持ちにつながるものなのだろうな。自分だけのひそやかな楽しさを抱えてみたいなと、ふっと思った。
 スケッチに出かけるのもいいなあ。太陽に重なり合う木の葉の影が美しい季節になった。基本に忠実な水彩画もまたいいなあ。水彩は手軽な画材だから小学校でも教材に使う。きちんと手順を追って描こうとするとこれがかなり大変。面倒くさい。小学校以来なじんできた画材だから余計面倒くさいと感じる。そこをぐっと我慢して、初めましての気持ちで手を掛けてゆくと、初めて水彩画が描けるようになる。鉛筆デッサンのはじめとよく似た感覚。時間がかかる。忍耐が要る。だけどやっただけのことはある。一度しっかりと身についたら、一生物。うううう・・・やってみようか。昔執った杵柄が通用するでしょうかね。水彩画らしい絵が描きたいっ。