子供にお金を残したい。どうしたらよいのか。

朝火事の煙

 真剣に聞かれた。生活保護の中からどうやったら子供のために貯金ができるのだろうかといわれて、はたと困った。保護費は人間らしい生活ができる最低限の金額を想定しているから、そこから貯金をしようというのは無理な話だ。しかし、事情を聞いてみるとよく分かった。子供を置いて離婚せざるを得なくなって、子供のために貯金をしてあげたいという。じぶんのなまえでは通帳を作れないから、子供の名前にしてお金をためてあげたい。一日1000円で暮らせば、交通費は障害者手帳でただになるし、何も買い物はしないから、お金がたまるはずだ。切々と話されて、胸が一杯になった。死んだら保護費を受けていたから、残ったお金は返却しなければならないんですか。切り詰めてためた貯金も吐き出さなければならないのですか。どうしたら子供たちに何かしてあげられるのですか・・・重い問いだった。生活保護を受けていたら、自分ひとりのことしかできないんですね。とその人は言った。人間らしい生活の保障の中に、この気持ちはどうやったら組み込むことができるのだろうか。
 無理なことを言っているのかもしれない。それでもその人の気持ちは痛いほど分かる。切ない気持ちになった。