姫がダウンした

姫作:りんごに寄り添うたまご

 緊張の糸がぷつんと切れたようで、今日はとうとう休み。午前中は眠って、お昼から置きだした。個別試験の願書受付開始なので、ゆっくり願書を書く。なんども迷いながらやっとここまでたどり着いて、またこれで本当によいのかと迷う。熱烈に思い込んでここまできたなら迷いは無いのだが、進路を変更しながらベターを選択してきた。本人が迷いの意味もまた自覚している。
 親が一方的に決める事も、担任が一方的に決める事も無かった。本人が道を探っていったことが今回の進路決定になった。自分が受験のときはひたすらに偏差値と受験倍率だけで、本人の希望など最後は霞んでしまった。苦い思い出。しばらくは自分の人生だという実感が無かった。だから子供たちには同じ思いはさせたくなかったから、最後まで迷って迷って自分で決めて欲しいと思う。自分で選んだ責任を取りながら生きてゆくから実りもまた自分のものだと実感できるだろうとの親の願いがある。親は人生の途中でいなくなってしまうのだから。
 ダウンして眠りこけて、起き上がって、また今日の予定作業をする。姫の受験準備はどこか渡り鳥のようにも見える。未知の土地でありながら、そこに行く道筋は、遺伝子の中に組み込まれていて、どんな条件であろうと、時期が来ればその土地に向かって羽ばたいてゆく。なぜそこに向かってゆくのかは分からないけれど、心の中にある方位磁石がそこを目指させる。その磁石は、私もまた私の祖先から受け継いだものなのだろう。始まりはどこにあるのかは知らないけれど、きっとどこかの時代の誰かにたどり着くのだろう。見知らぬ人のともした明かりが、今私の中で行く道を照らしている。不思議な和らいだ気持ちになる。