2010-01-20 花を活けた なくなった家族のことを思い出す日 話を聞く日 語り合う日 悼む日 一人一人の生きた時間を、 見知らぬ人々が 心の扉をほんの少し開き 浮かび上がってくる思い出を掬い上げ こぼれることばを 紡ぐ それぞれの中で織り上げる布は 誰の目にも触れず 心の中に たたみこまれてゆくだけ いつの日にか 沈黙の布は 織り上げた模様を 天に返すのだろう 風に花びらが舞うように淡く染まった 花を 幾本も束ねて 私は 愛しい者たちの遺影のそばに置く