今日は施設訪問

 身体を壊し、入院して退院後は一人暮らしができなくなったけれど、当人にはその自覚が無い。面接に行くと「家に帰してください」と拝まれる。もう自宅は整理されて帰る場所は無いことをこの人は知らない。そしてそれを告知するのは私の役割ではない。
 苦しいけれど「そうだねえ。帰りたいよね」と受け止めることが私の仕事。いつの日にか諦めて、何も訴えなくなる。その経過を寄り添いながらどうやったら穏やかに「今日の生活の場所」に居られるようになるのか、その援助が私の仕事。
 重たくて、切なくて、かなしいけれど、こうやって人はまたひとつ諦めて生きてゆくことを学ぶ。そのときそばに誰かが居てくれたら、その人に思いのたけを吐き出すことができる。ほんの少しでも苦しみが軽くなることを願って私はそばに居る。