年末大掃除

 気になっているのに時間がない。少しずつ小分けにして丁寧に掃除している。ざばざばと空気を洗うようにすっきりとしたいと思うのにな。時間は見つけるもの。作るものとbabaは生前言っていた。こまめにこぼれた時間を拾い集めればまとまった仕事ができる。小さなものを大切にしなさい。子供のころはうるさくてかなわないと思ったけれど、今やっとbabaの気持ちがわかってきたような。babaは残り時間を数えていたのだなあとわかる。後、どれくらい自分が自由に働くことができるのか、いつも心のどこかで思っていた。癌を抱えて生きていたbabaにとってそれは真剣勝負の毎日だったのだろう。再発、手術、転移を繰り返して苦しさを抱えながら、諦めるということをしない人だった。一緒に暮らしているときは厳しい人だったけれど、今振り仰ぐと限りなく懐かしく、いとおしい。親というものは哀しいものだ。子供に理解されるときすでに自分は命籍を異にしている。私もまた、自分の残したものを子供たちに託して行くのだろうと思う。たとえその本意が理解されなくとも託したものはいつか何らかの形で子供たちの人生を支えるだろう。そう思うとなんだか楽しい。