百均

 このごろ使い捨てのノートや紙類の必要があって、三日ごとに通っている。しみじみと店の棚を眺めていて、これで暮らせるんだなあと思った。DVで夜逃げした人が何とか生活必需品をそろえることのできる金額が意外と少ないのでびっくり。百均でそろってしまう。デノミというけれどこれが存在しなかったら、生活できない人がたくさんいる。使い捨て文化の最たるものだけれど今はありがたい。家を捨て、生活を捨てこの品々を買って新しい暮らしを始めた人を思う。私たちの暮らしはパイの様に幾重にも重なっている。見ないで済まそうと思えば一切見ないですむ。人は人自分は自分と割り切ろうとすればそれもできる。
 人の生涯を思うとき何が正しくて何が間違っているのか思うのは、自分がパイの皮を滑り落ちたとき。見知らぬ生活の中に落ち込んだとき。
 このごろ人生の不条理を思うことが多い。とくにこのパイの皮を突き破った人たちと出会ったとき。生き延びるために自分の生活の有り方を変革する勇気が必要。単純に清貧を生きることができる人はタフだ。囚われることが自分をいかに不自由にしているのかを知ることは今を生きるためには必要なことなのだと思いかみ締めた。