今まで考えたことがなかった

きのこは不作

 七人の子供を育てて師匠と姫が私学に進み後の五人は公立だった。その差を余り真剣に考えてこなかった。何となく肌合いの差があると思ってはいたが経済的な面だけで考えていたと思う。それが県内の私学の父兄が集まって私学助成を求める大会に参加した。役員の最後の仕事だったというのが正直なところだが、それぞれの学校間のニュアンスの違いに驚いた。親の匂いがこれだけ違うということは子供達もまた異なるということではないのか。今までわたしも親分も公立育ちだったので、こんな雰囲気は知らなかった。そして初めて私学の持ち味を身体で感じた。それは進学率だけでは図ることのできない、人としての感性の問題だと思った。そして無意識の中に、わたし達はこの二人の娘の個性にとてもよくフィットした学校を選んでいた事に気が付いた。卒業間近の今になってわたしは自分達の親としての直感に少し安心した。