親分と大将は麦ハウスメンテナンス

秋の光を横切る

 ヤッと念願の麦ハウスのメンテナンスに出かけて、私と風邪引きで体調の優れない姫は残る。親分は本棚を買い込んだ。90x180を4本も。それで少しはこちらの荷物を運び込む空間を確保するつもりらしい。7部屋あるからそれなりに物が納まってこちらで借りている運送会社の倉庫が返還できれば少しは経済的に無駄がなくなる。何度も体験してきた家の荷物の整理と移動。気が遠くなる作業。亡くなった者たちが残していったものを抱え込んで自分の生活を維持することは蔵でもなければ無理なこと。もうこれ以上の維持はご勘弁願いたいと切に思う。身は既に土に返り物の記憶だけが残存しているのは不思議なことだ。こうやっていつかその人の存在そのものは残された者たちの記憶の中に留まる分だけになっていき、それさえもその人が死んでしまえばなくなってゆく。改めて人が生き、死んでゆくことの意義を思い巡らす。人生とは如何にあるものなのか。人はそれぞれの思いをこの言葉に重ねる。そして今というときが人生のまさにその一こまであることを忘れる。