関わっている方の体調がいまいち

秋の陽の梯子

 どうしたいのか気持ちを聞きながら、入院の意思確認をする。精神的な問題と片付けられ絶望感に似た怒りを感じていることが分かる。もうこれ以上この人の訴えを無視して医療側の感じだけで片付けてはいけないと感じる。たとえこの人が思い続けていることが医学的に根拠がなくても、体調を取り戻すために一休みしたいから入院したいという気持ちがあながち間違いということではない。とりあえず受け入れの余裕のある内科系の総合病院にコンタクトを取る。幸いにして、担当ナース長が私の古い友人なので内部の様子も分かる。もし受け入れが可能ならば私も継続でかかわることを打診された。病院側の許可が出れば私がクライエントを訪問することは他のケースでは日常なので問題はない。私にはこの人を助けてあげることは出来ないかもしれないが、私の手を支えているのは神様だからきっとこの人は元気になれる。そう思っている。今日私は初めてこの人の笑う顔を見た。暖かなふんわりした笑顔だった。点滴ではなく、口から食べ物を食べて消化して身体を支える。それがこの人のやりたいことなのだ。睡眠薬で眠るのではなく自然な眠りが訪れるのを待って眠る。この人はその全てのものを一瞬の不注意な運転者の起こした交通事故で奪われてしまった。この人に何一つ落ち度はない。