同じ車が

 色も形も同じ車がNPOの駐車場にいた。ボランティアの誰かの車と思うが、一瞬なんで自分がここにいるのかと言う気持ちになってゾワッとした。今まで人と同じ車には乗ったことがなかったのでこの気持ちは初体験だった。
 駐車場に入った途端に事務局長から電話が入ってあわてて降りたので、鍵をかけたのかどうか分からなかった。気になったけれどお昼までそのまま放置せざるを得なかった。未だにキーレスの感覚には慣れることができない。ガチャッと音がして手の中で感じてやっと鍵をかけたと確認する習慣が付いているから、ピと光るだけでは記憶に残らない。あの車の持ち主は誰なんだろう。色も形も同じものを選ぶ人はどこか同じ感性を持っているのだろうかなどと思ってしまう。