こんな生き方もいいな

 GSの先週担当者の会議はおうちレストランだった。イタリアンというがフレンチ風。民家の一階にテーブル席がいくつか置かれていてキッチンがカウンター越しに見える。まだ若いシェフが一人で接客も調理もしている。素材の野菜は自家製。ハーブも自家製。生ハムや牛肉の冷製といわしのアンチョビ風、やわらかく煮込んだポークと生野菜のサラダの盛り合わせが前菜で出た。パンの代わりにお店の庭に据えられた石焼竈で焼いたフォッカチオが美味しかった。メインはクリームチーズとリゾットをトマトソースで味付けしてボール型のコロッケにしたトマトソースがけとつぼみ菜とたけのことチーズのスパゲッテイ。デザートはイチゴと生クリームのフォンダンプリンにいちごとカスタードクリームを敷いて、上に桜の花の塩漬けをそえ、リンゴのコンポート、オレンジをそえたもの。お茶はカモミールを頼んだ。
 話題は重くて硬いものだったが、皆ぺろりと頂いてしまった。私が嬉しかったのは、使われたオリーブオイルと塩の産地と特性を当てることが出来たこと。我が家の味だったから。ガリラヤのオイルにイタリアの岩塩だった。予約でしか食べることが出来ない。隠れ家レストランとして何度か取材が入って中々予約が取れないのだそうだ。委員長の会社でお接待に使うとかで予約が取れた。ラッキーだった。
 美味しかったからかもしれないが、無駄を出さず必要なものだけを仕込み、一日何組かの予約を取って、食材は出来る限り自分でつくる。残った野菜は道端の無人スタンドで一山100円で販売する。転職なさった方のようだったがほのぼのとした雰囲気が良かった。こんな生き方もいいなあと思う。今日一日生きていけて、暮らしてゆけるぎりぎりの稼ぎがあればそれで良いと思える潔さに引かれる。贅沢な一日だった。