今日は仕事で

小夏君。でかい

 海のそばの施設に行く。私と殆ど年麗が違わない方だが、脳出血を起こして片麻痺が残って一人暮らしが出来なくなった。倒れる前は車を運転して友人を誘ってあちこちと遊びに行ったという。今彼女を訪れる人も連れ出してくれる人もいない。もう人間はいらないと言う。穏やかでふっくらとした表情から出るその言葉は重い。沢山いたい思いをしてきたのだろう。海辺の施設は人間の気配がない。窓いっぱいに広がる林と遠く波の音。鳥の声。限りなく広がっていく空。このまま死んでゆくのだろうと二人とも思っていた。緩慢な時の流れは立ち止まらず流れ続けている。