リンゴ

 傷みかけたリンゴを割って芝生の上に置いてみた。人間が食べることが出来るなら小鳥でもいけるかもしれない。置いてすぐに、ヒヨドリが早速やってきた。もずもいる。そっと見ていると野鳥が順番にやってきてはつついている。面白い。鳥が集まってあたりを汚してしまい迷惑なのでえさはやってはいけないのだがこっそりとやってしまった。冬場のホンのおやつ程度と言うのは自己弁護だなと思ったが、その姿を見ているとつい顔がほころんでしまう。
 ささやかな優しさに今私は飢餓を感じているのかもしれないな。自分の足元を見た。しっかり歩こうとも思った。ささやかなものの中に真実があるとも思った。