朝早く出かけて

白鳥の来た沼の上の雲

 豊かな暮らしとは何かをしみじみと考える。若い時ザバザバとお金を使って相続したものを皆使い切って手元に残ったのはマンションと一台のピアノ。いろいろな事情からゆったりと一人暮らしを楽しむはずがそれが叶わなくなってしまった。食べることも着ることも皆どうでも良い。
 まずピアノが大事だから一日中エアコンはドライをかけている。電気代がどうなろうと致し方ない。考え方は様々だけれど、一番大切なものに生活の針を合わせて後は見向きもしない生き方もそれはそれで凄いと思う。若い時散々お金を使って豊かな生き方をしたから今お金がなくなっても貧しさに染まらなくてすむ。面と向かって、そういいきれるのは凄いな。
 だけど、マンションの様々な設備が少しずつ壊れてきて、そうも言っていられなくなって来た。物は壊れだすと一気に壊れ始める。修理のお金はない。
 その人はまず第一にピアノを選ぶ。その次に飼い猫。そして自分のこまごまとした必要・・・
社会的に見たらおかしな順番であっても、その人にとってそれが最良の順位ならば,いのちにかかわりのない範囲でその順位を守ってあげるべきなのかもしれない。社会通念と個人の価値観の間で朝早くから板ばさみ。どちらの言い分も良く分かるからなおのこと。
 私ならどうして欲しいのだろうか。考えてしまった・・・・