秋雨

蜘蛛

 穏やかに雨が降るのは好きだが、今日の雨は災害をもたらした。家の床下に水が入っても建物は傷む。まして床上に水が上がったらその家に再び住める家になるのには大変な費用がかかるのだろう。画面を見ながら幼い頃北海道で見た水害を思い出していた。朝、坂ノ下を見たら海になっていた。道も消えてしまい家の窓の高さまで水が来ていた。世界が別のものに見えた。またあの情景が再現されないことを祈る。借金を抱えて建てた家が水に崩れてゆくとき人々は自分の全てを失ってゆくように感じるだろう。地震の被害を見て、水害を見て、理不尽に自然が打ち壊してゆくものを、運命と受け入れて黙々と跡片付けをする人々の強さを思う。自然の中に生きるということはこういうことなのだ。自分が被害者の列に加えられるかどうかはその一瞬まで分からない。私たちの人生は危うさの中に組み込まれているのだ。気づこうとしないだけで・・・これ以上の被害が出ませんようにと祈る。