一人暮らし

一人で地震の眠られぬ夜を過ごされた方たちを訪問する。眠ることは安心感があるから可能なのだと改めて思う。もしまた揺れて家がつぶれたら誰が助けてくれるのだろう。助かってどうしようというのだ。いっそこのまま死んでしまっても誰もないてはくれないのに。と、思いはどんどん先へ先へと進んでゆく。この思いをくだらないとは思えない。だってこの人たちの現実なのだから。そう思うとしみじみと生きていることを喜べる一日をと願わずにはいられない。奪われることのない喜びをどうやったらこの人たちは自分の中に見つけ出すことができるのだろうか。生きる力は与えられるものではなく命そのものが持っているもの。みな等しく持っているものなのだ。一人暮らしは決して甘くはない。しかも誰もがその可能性を持っている終末の姿だ。たとえ親だからといって子供の人生を巻き添えにしてはいけない。人はそれぞれの締めくくりを自らする義務がある。幕を下ろすのは自分自身なのだ。潔くきっぱりといききって死にたいものだと心から思う。