ケース2件

チェリーセージかしら

 一人暮らしを生きてきた方。人生の旅を目くるめくような勢いで歩いてこられた。大きな家屋敷を持っていたこともあり、詐欺にあって丸裸になったことあり、裁判を起こしたことあり、もうさまざまなスンバラスイ人生。今は淡々と二匹の猫と暮らしている。猫禁止なんてことはこの方の前にはあって無きがごとし。背筋がしゃんとしていて私なんぞは娘っ子扱い。昨日は歴代の犬猫のいかに賢かったかその別れがいかに悲しかったかの話を延々と聞いた。事の発端は唯一の関係者である遠縁の人が彼女を施設に入れたくて、ケース会議の席で強引に施設入所の申し込みをしてしまった。一応は同意したけれどなんとも心穏やかならず。その胸のうちを吐き出された。そして出てきたのは愛しい家族たち。犬であれ猫であれ、この方にとって最愛の家族に間違いはない。今飼っている2匹の猫でさえ大事なのだ。ほかの人にとっては、彼女は自分の意志でいき方を決める人だからもしかしたらの不安がある。だから私は追い込まないためにいっぱい話を聞く。そして一緒に泣いてしまう。家族なんだよ、形は猫であっても。この声が届かない。
 子猫が三匹生まれていた。だれかほしい人いないかなあ・・・。だれかいないかなあ?誰か。