イージス艦

万に一つも、小さな漁船が道を開けると思ってはいなかったか。
魚雷でさえ見落とすことのないレーダーが漁船を見落とすはずがない
見落としたのは人間の責任だ
見ても見ない、聞こえても聞かなかったのは人間の業だ
冬の海に落ちて40分が限界と言う
ニュースを見るたびに
胸に深く突き刺さってくる


たった二人ではないか
たかが漁船ではないか



この二つのいのち
ならば返して欲しい
まっとうな人間ならば
このいのち
返して欲しいと願うだろう


いくさぶねに噛み砕かれ裂かれていった無念を思う
この国の海は平和の海ではなかったのか