レイ

 親分が図書館からレイを借りてきた。主演のジェレミーが余りにもレイのそっくりで変な気分になった。デジャブを見ているような二重のものを見て居るような。あそこまで一人の人間を再現できるって怖い。言われなければ若いころのレイそのものを見ているような感じがするもの。特徴的なしぐさばかりではない、もしかしたらこんな風だったのかと思わせるような見知らぬ部分を重ねて本物と思ってしまう不思議な安定感がある。亡くなってなお彼の音楽は評価を落とすことなく売れ続けているが、レイ・チャールズの音楽には心に直接響くストレートさと、心に入りこまないままで心の周りを包み込む豊かさがある。この間接的な余韻が他の音楽にはない味わいではなかろうか。